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法定養育費とは?

法定養育費とは?

親権、養育費、親子交流などに関するルールを見直した民法等改正法が2026年4月1日に施行されました。

日本では、離婚の約9割が夫婦間の話し合いによって成立する「協議離婚」です。

協議離婚では、養育費について取決めをしていなくても離婚することができます。そのため、養育費の金額や支払方法を決めないまま離婚するケースも少なくありません。

しかし、養育費は請求をして初めて「別居して子どもを養育していない親(非監護親)」に具体的な支払義務が発生することになり、離婚した日にさかのぼって養育費を請求することはできないとされていました。

そのため、離婚後に養育費について話し合いがまとまらず、調停などによって養育費を請求するまでの間は、子どもの生活費や教育費などを、「子どもと一緒に暮らしている親(監護親)」が負担せざるを得ない状況が生じていました。その結果、監護親の経済的な負担が大きくなり、子どもの生活や養育に影響が及ぶことも懸念されていました。

このような問題を解消するために設けられた制度が「法定養育費」です。

法定養育費とは、協議離婚をした場合に、夫婦の間で正式な養育費の取決めがされるまでの間に、暫定的・補充的に一定額の養育費を請求できる制度です。

つまり、離婚後に養育費について話し合いなどを行っている間に、養育費が全く受け取れないという「空白期間」をできるだけなくし、子どもの生活を守るための補充的な仕組みといえます。

法定養育費はいくら?

法定養育費の額は、子ども1人につき月額2万円です。

例えば、子どもが2人いる場合には、原則として月額4万円、子どもが3人いる場合には、原則として月額6万円を請求することができます。

ただし、この月額2万円は、父母が最終的に決めるべき養育費の「標準額」や「最低額」を定めたものではありません。

実際の養育費については、父母それぞれの収入、子どもの年齢や人数、生活状況、教育に必要な費用など、さまざまな事情を考慮して決めることになります。

そのため、法定養育費が月額2万円だからといって、正式に決める養育費も必ず月額2万円になるわけではありません。

法定養育費は、あくまでも正式な養育費の取り決めがされるまでの間、子どもの生活を支えるための暫定的な制度です。

法定養育費はいつから請求できる?

法定養育費は、2026年(令和8年)4月1日以後に発生した協議離婚又は認知等に適用されます。

また、離婚した日から引き続き子どもを主として監護している父または母が、もう一方の親に対して請求することができます。

例えば、2026年4月10日に離婚し、その後も子どもと生活しながら主として監護している親は、養育費についてまだ正式な取決めをしていない場合であっても、法定養育費を請求することができます。

なお、法定養育費は、原則として次のいずれかの時点まで発生します。

父母の間で正式に養育費の取決めをしたとき

父母の話し合いによって、養育費の金額や支払期間などについて取決めをした場合には、その取決めに基づく養育費へ移行します。

家庭裁判所の審判によって養育費が決まったとき

父母の話し合いで養育費が決まらず、家庭裁判所の手続によって養育費の額が決まった場合にも、法定養育費はその暫定的な役割を終えることになります。

子どもが18歳に達したとき

法定養育費は、子どもが成年に達するまでの制度です。

法定養育費は本来の養育費についての取決めがされるまでの暫定的な制度であるため、その範囲も最低限のものとされています。

ただし、一般的な養育費については、父母の取決めによって「大学卒業時まで」など、18歳を超える期間について定めることもあります。

離婚前の別居期間中は、法定養育費は発生しません。

2026年3月31日以前に離婚した場合は?

法定養育費の制度が適用されるのは、2026年(令和8年)4月1日以後に協議離婚した場合です。

そのため、2026年3月31日以前に離婚している場合には、法定養育費は発生しません。

すでに離婚していて養育費の取決めがない場合や、養育費の金額について改めて決めたい場合には、父母間で話し合いを行うほか、必要に応じて家庭裁判所の調停などの手続を利用することになります。

法定養育費と通常の養育費の違い

法定養育費と、父母の話し合いや家庭裁判所の手続によって決める通常の養育費には、大きな違いがあります。

法定養育費は「暫定的な養育費」

法定養育費は、正式な養育費の取決めがない場合に、一定の条件のもとで発生する暫定的・補充的な養育費です。

金額は、原則として子ども1人につき月額2万円とされています。

通常の養育費は「個別の事情を考慮して決める」

一方、通常の養育費は、父母の収入や生活状況、子どもの人数や年齢、教育費など、それぞれの家庭の事情を考慮して決めます。

そのため、実際に決める養育費の額は、法定養育費の月額2万円より高くなることもあれば、個別の事情を踏まえて異なる金額となることもあります。

また、通常の養育費では、支払期間について「子どもが20歳に達するまで」や「大学を卒業するまで」など、子どもの状況に応じて具体的に取決めることもできます。

法定養育費と通常の養育費の比較

項  目法定養育費通常の養育費
養育費の取決め取決めをしていなくても請求可能父母の協議や家庭裁判所の手続で決定
金  額子ども1人につき月額2万円父母の収入や子どもの状況などを考慮して決定
性  質暫定的・補充的個別の事情を踏まえた正式な養育費
発生時期離婚の日(当日を含む)父母の取決めや家庭裁判所の判断による
支払期間正式な養育費が決まるまでなど父母の取決めや家庭裁判所の判断による

法定養育費があるから、養育費の取り決めをしなくてもよい?

法定養育費の制度ができたからといって、養育費について正式な取り決めをしなくてもよいというわけではありません。

法定養育費は、あくまでも養育費が正式に決まるまでの間を補うための制度です。

子どもの成長には、日々の生活費だけでなく、教育費医療費進学費用など、さまざまな費用が必要になります。

そのため、できるだけ早い段階で、父母の収入や子どもの生活状況を踏まえた適切な養育費について話し合い、具体的な取り決めをすることが重要です!

養育費の取り決めは書面に残すことが大切

養育費について父母の間で話し合いがまとまった場合には、その内容を口約束だけで済ませるのではなく、離婚協議書などの書面に残しておくことが重要です。

離婚後は、生活環境や考え方が変わることで、「言った・言わない」のトラブルが生じることがあります。

養育費の金額や支払日、支払期間などを明確にした離婚協議書などを作成しておくことで、後のトラブルを防止しやすくなります。

また、将来、養育費の支払いが滞った場合に備え、取り決めの内容をどのような形で書面化するかについても、十分に検討することが大切です。

よくある質問

暫定的な養育費(法定養育費)は、いつから発生するのでしょうか。

離婚の日から発生します。

支払義務を負う父母は、毎月末に、その月の分の暫定的な養育費を支払う必要があります。

暫定的な養育費(法定養育費)は、いつまで発生し続けるのでしょうか。

次のいずれか早い日まで発生し続けます。

① 父母が養育費の取決めをした日
② 家庭裁判所における養育費の審判が確定した日
➂ こどもが18歳に達した日

離婚後にこどもと離れて暮らす親ですが、十分な収入がなく困窮しています。この場合でも暫定的な養育費(法定養育費)の支払をしなければならないのでしょうか。

暫定的な養育費(法定養育費)の請求を受けた者は、「支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと」や「その支払をすることによって自らの生活が著しく窮迫すること」を証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができます。

こどもと離れて暮らす親の収入が乏しい場合には、父母の協議により、暫定的な養育費の額よりも低額の養育費を取り決めることもできます。

今回の改正法施工前に離婚しましたが、暫定的な養育費(法定養育費)は発生するのでしょうか。

発生しません。

暫定的な養育費(法定養育費)は、改正法施工後に離婚した場合のみに適用されます。

2026年3月31日までに離婚した場合には、養育費の支払を求めるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決めてください。

行政書士

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