離婚協議書
親権・養育費・親子交流などに関する民法等改正
①親の責務に関するルールの明確化
②親権に関するルールの見直し
➂養育費の支払確保に向けた見直し
④安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
⑤財産分与に関するルールの見直し
⑥養子縁組に関するルールの見直し
親の責務に関するルールの明確化
父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。
親権に関するルールの見直し
父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者と定めることができるようになります。
養育費の支払確保に向けた見直し
・養育費債権に優先権(先取特権)を付与(債務名義がなくても差押え可能になります。)
・法定養育費制度を導入(養育費の不払い対策)子ども1人当たり月額2万円とし、夫婦間で取り決めがなくても同居親が別居親に請求可能です。
・執行手続の負担軽減策や、収入情報の開示命令などの裁判手続の規律を整備
安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
・審判・調停前等の親子交流の試行的実施に関する規律を整備
・婚姻中別居の場面における親子交流に関する規律を整備
・父母以外の親族(祖父母等)と子との交流に関する規律を整備
財産分与に関するルールの見直し
・財産分与の請求期間が2年から5年に伸長されています。
・財産分与において考慮すべき要素が明確化されています。
・父母以外の親族(祖父母等)と子どもの交流に関するルールが設けられています。
養子縁組に関するルールの見直し
・養子縁組がされた後に、誰が親権者になるかが明確化
・養子縁組についての父母の意見対立を調整する裁判手続の新設

離婚協議書とは
離婚協議書とは、離婚条件を書面に残すものです。
協議離婚では、夫婦間の話し合いを元に離婚条件を決定します。
その中で親権、養育費、面会交流、慰謝料、財産分与などの基本的事項について協議します。なお、夫婦によっては、事情に応じて特約に当たる事項について協議する場合もあります。
それらを双方で確認して相手方となる配偶者に実行してもらうため、離婚協議書として残しておくことが必要となります。
離婚前のToDoリスト
- 離婚の理由を明確にする
- 夫婦の共有財産を把握する
- 子どもに関する情報を集める
- 離婚後の生活設計を立てる
離婚協議書が必要となるケース
- 配偶者の性格上、口約束では到底守ってくれないことが考えられる場合
- 離婚時に決めておかなければならない事項が多い場合
- 子どもたちが成長したときに離婚についての説明材料としたい場合
- 新しい人生のスタートに際して、ケジメをつけておきたい場合
離婚で重要なポイント
親権者
父母が、その協議により親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。
養育費
養育費とは、子どもを育てるために必要な費用のことです。子どものためにしっかり取り決めをしておきましょう。
面会交流
子どもと離れて暮らす親が子どもに会うことを面会交流といい、その権利を面会交流権といいます。
財産分与
財産分与とは、結婚後に夫婦で築いた財産を離婚時に分け合うことをいいます。収入のない専業主婦(夫)や、離婚の原因をつくった配偶者であっても請求できます。
慰謝料
不倫や暴力などの不法行為のように、どちらかに非があることが明らかな場合は請求できます。どちらにも離婚の原因があると考えられる場合は請求できません。
年金分割
離婚時に、年金を夫婦で分割できる制度を年金分割といいます。専業主婦(夫)や年収の少ない方が、将来相手が受け取る年金の一部をもらえるようになります。
婚姻費用分担請求
夫婦が婚姻費用を分担しなければならないのは、別居中でも変わりません。夫婦の一方が勝手に出て行って生活費を支払わない場合などは、この婚姻費用を請求できます。
親権者の定め方
協議離婚の場合
父母による協議によって、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。
父母の協議が調わない場合・裁判離婚の場合
家庭裁判所が、父母とこどもとの関係や、父と母との関係などの様々な事情を考慮した上で、こどもの利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。
- 虐待のおそれがあると認められるとき
- DVのおそれその他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき
※殴る・蹴る等の身体的な暴力を伴う虐待・DVに限定されません。
※これらの場合以外にも、共同親権と定めることでこどもの利益を害すると認められるときは、必ず単独親権の定めをすることとされています。
親権者の変更
離婚後の親権者については、こどもの利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所が、こども自身やその親族の請求により、親権者の変更をすることができます。
離婚前の父母間に一方からの暴力等があり、対等な立場での合意形成が困難であったといった場合には、こどもにとって不利益となるおそれがあるため、この手続によって親権者の定めを是正することができます。
「親権者の変更」の場合も、上記表の➊・➋に当てはまるときは、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることになります。
養育費
養育費とは、子どもを育てるために必要な費用のことです。子どもを養育する費用であって、離婚する片方の生活費ではありません。具体的には、子どもの生活費、教育費や医療費などで、子どもに関する費用のすべてが含まれます。父母は、経済力に応じて養育費を負担する義務があります。
離婚協議書には、養育費の支払始期、支払終期、金額などについて記載します。
これまでの民法では、父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決めなければ、養育費を請求することができませんでした。
今回の改正により、離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、「暫定的に一定額の養育費」を請求することができるようになりました。
子どもの病気等により高額な医療費が発生した場合など、通常の養育費では補うことが難しい出費についても検討しておく必要があります。
面会交流
子どもと離れて暮らす親が子どもに会うことを面会交流といい、その権利を面会交流権といいます。なお、メール等の連絡や学校行事に参加するといったことも面会交流に含まれます。
面会交流は子どもの成長のために行うべきものです。ですから、大人の事情や気持ちだけで判断するのではなく、子どもの気持ちと幸せを最優先して決めていきましょう。
財産分与
財産分与とは、夫婦が離婚した場合に、その一方が、婚姻中に形成した財産を清算するため、その分与を求めることをいいます。
結婚後に夫婦が協力して得た夫婦共有財産が、財産分与の対象となります。収入のない専業主婦や、離婚の原因をつくった配偶者であっても請求できます。借金なども共有財産に含まれます。
結婚前から所有している財産や相続で取得した財産などは個人の財産とされます。このような財産は財産分与の対象ではありません。
財産分与は、まずは夫婦の協議によって決めますが、協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができます。
これまで、この請求は離婚後2年以内にする必要がありましたが、今回の改正によって、離婚後5年を経過するまで請求できるようになりました。
財産分与の取り決めをせずに離婚した場合、時効により財産分与を請求する権利がなくなってしまいますのでご注意ください。
慰謝料
浮気(不倫)や暴力などの不法行為のように、どちらかに非があることが明らかな場合には請求できます。ですが、双方に原因があると考えられる場合などでは請求できません。
慰謝料は離婚後に請求することもできますが、慰謝料の請求権にも時効があります。
慰謝料の取り決めをせずに離婚した場合には、請求することのできる期限についてご注意ください。
婚姻費用
結婚生活を送るために必要な生活費を婚姻費用といい、夫婦であればこの費用を分担する義務があります。離婚についての話し合いを行っている間も同様です。離婚が成立するまでは、収入の低い側は収入の高い側に婚姻費用を請求する権利があります。
年金分割
平成20年5月1日以後に離婚等をし、条件に該当した場合は、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。
慰謝料・財産分与にかかる税金
慰謝料や財産分与も、金銭で支払うのであれば、原則として税金はかかりません。ただし、支払金額があまりにも多い場合や、贈与税などを免れるための偽装離婚とわかった場合には、受け取る側に贈与税がかかります。
不動産を財産分与で取得する場合、受け取る側にも税金がかかる場合があります。名義変更時に登録免許税がかかるほか、固定資産税を毎年納める必要があります。
譲渡する資産(不動産など)の譲渡時の価格が取得時の価格を上回っているときは、渡す側に譲渡所得税がかかります。居住用不動産の場合は、離婚成立後に渡すと特別控除が受けられます。
| 渡す側 | 受けた側 | |
| 現金・預貯金 | 非課税 | 原則、非課税 |
| 不動産 | 譲渡所得税 ※特別控除の適用がある | 登録免許税 固定資産税 |
| ※ 金額が大きい場合などでは、贈与税がかかることがあります。 | ||
離婚公正証書
離婚公正証書とは
協議離婚をする時に、夫婦間で合意した離婚の条件を離婚公正証書にすることにより、相手方が支払いをしない場合に裁判をすることなく執行手続きが可能となります。
養育費に焦点を当てて考えてみても、支払いの取り決めの安全性を高めるだけでなく、離婚後の不安を軽減することに繋がります。
離婚の届出の提出前の取り決めを、離婚後に反故にされることも実際に少なくありません。
そうならないために、離婚の届出をするまでに夫婦間で合意に至った離婚の条件を公正証書とすることを、当事務所ではお勧めをしています。
公正証書作成の際には、原則として夫婦が公証役場に赴いて、内容と作成に納得していることを示す必要があります。
公証役場に対して公正証書の作成を依頼する場合、どのような内容を公正証書に記載するかについて、あらかじめ夫婦間で決めておく必要があります。
公正証書の作成のような重要な契約において、記載する内容の判断を誤った場合には、その契約の当事者が後に困ることになるのは明白です。
しかし、公証役場では公正証書作成の手続については回答してくれますが、一般的な法律相談は受付けておらず、契約の内容などについて有利なアドバイスをしてもらえることはありません。(公正証書の中身となる合意の内容については、公証役場のサポートはありません。)
このような場合、事前に専門家に相談したり、公正証書とする内容についての文案作成(離婚協議書)を依頼することで、記載内容について漏れのない公正証書の作成に繋がるものと考えられます。
離婚後の公正証書作成について
離婚を急いでいる場合やDVなどで夫婦間での話し合いが難しい場合、慰謝料などを請求できないまま離婚することもあります。
離婚後、生活が落ち着いてから「慰謝料の請求」や「財産分与の請求」を考えたいケースもあるでしょう。離婚公正証書の作成には期限がないため、相手方が同意すれば、あらためて条件を話し合って作成することもできます。
慰謝料や財産分与は離婚が成立してから請求することもできますが、請求期限に注意する必要があります。慰謝料は離婚成立時から3年、財産分与は5年を過ぎると請求できなくなります。
離婚後、時間の経過とともに慰謝料などの支払いに消極的になる傾向があるので、離婚後に公正証書を作成して請求する場合は、早めに行うことが重要です!
離婚後は急に連絡が取れなくなることもあるため、離婚時に公正証書を作成しない場合であっても、「離婚後に条件を話し合って公正証書を作成する」ことについては、離婚前に合意しておく必要があります。
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養育費の連帯保証
養育費の支払は長期にわたるため、将来の未払いに備えて、養育費の連帯保証人を付けるのも一つの方法です。
連帯保証に関する契約が有効に成立するためには、当事者間である(元)夫婦間の合意だけでは足りず、養育費の権利者(養育費を受け取る側)と連帯保証人との間で合意することが必要になります。また、連帯保証に関する契約書は、書面又は電磁的記録で交わさなければなりません。
(保証人の責任等)
引用元:民法|e-Gov法令検索
第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
連帯保証に関する契約書を公正証書にしておくと安心ですが、公証人によっては連帯保証人をつけることを認めてもらえない場合があります。詳細については、以下の記事をご覧ください。


